SM: 嬉しかったかもしれない  SM: 悲しかったかもしれない  SM: いつもとは違う日々  SM: だが、いつもどおりの日々  SM: 非日常の日常 第二話  SM: 「生という価値」  矢袋: ぱちぱちぱちぱちぱち  古山: ぱちぱちぱちぱち  いぶき(見学): ぱちぱちぱちぱち  ログ取りくまぁ: ぽてぽて〜  SM: ――斬  SM: ――斬  SM: ――――斬!  SM: 右腕を振るい群れる死者を叩き伏せ、回転する鋼の剣が死者の首を刎ねる  SM: ここは――戦場  矢袋: 「・・・・・・・・・・・・・・・・・弱い・・・」  SM: 聖杯戦争という名の闘争。この街に顕現するというソレを求め、ありとあらゆる魔が集う  SM: 日々が闘争と死に満ち  矢袋: 「・・・・・・・まだ・・・・これじゃ・・・・・・この程度じゃ・・・・・」  SM: 平穏という名の日常は、すでに遠い過去のようにすら想われる  SM: 今ではもう・・・この戦いすらも日常なのだろうか  矢袋: 「・・・・・・・・・・もう、ひとつ・・・・・」ざしゅ!・・・返り血を浴びて  SM: ふと、そんなことを想い浮かべた時・・・周囲にあれほど群れていた死者達は、すでに動かぬ骸と化していた  SM: ――ぁ  矢袋: 「・・・・・・・・・・・終わった・・・・・・?・・・・・」真っ赤に染めたその顔で・・・こくり、と傾げる  SM: ―ぉ・・・ぁ・・・  SM: どこからか響く、かすかな泣き声  矢袋: 「・・・・・・何・・・・・・?・・・・・・・・いきのこ・・・・・り?・・・・」  SM: ――おぎゃあ、おぎゃあ  SM: 耳を澄ませれば・・・それはたしかに、赤子のような泣き声  矢袋: 「・・・・・・じゃ・・・・・ない・・・・?・・・・・どこ・・・・・・から・・・?」夢遊病者のように、頼りない足取りで向かうは声の先  矢袋: 「・・・・・・・こんなところ・・・・に・・・・・赤・・・・・・・ちゃん?・・・・」  SM: 泣き声は、路地の奥から響いている  矢袋: 「・・・・どこ・・・・・・・かな・・・・赤ちゃ・・・・ん・・・・・」  SM: 君がなぎ倒し打ち滅ぼした死者達  SM: その骸の下に。母親・・・だろうか。女性に抱かれるようにして、赤子が弱弱しく泣き叫んでいる  SM: 女性の背は大きく裂け。喰らわれた、のだろうか。肩口の肉が大きく抉られている  矢袋: 「・・・・あ・・・・・・・・・・・」一瞬、びくりとなって  矢袋: 「・・・・お母・・・・さん?・・・・・死んじゃった・・・・んだ・・・・・そう・・・・」無造作に、物を扱うかのごとく無造作に、遺体をどけて  SM: ――守るように。死してなお我が子を抱くその腕は引き剥がされる  矢袋: その血まみれの両の腕で赤ん坊を抱き上げる、目には何も映っていないかのごとく、透明で・・・  矢袋: いや、濁っているのかもしれない・・・  SM: ――おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ  SM: 赤子は、ただただ泣き叫ぶ  矢袋: 「・・・・赤ちゃん・・・・ここ・・・には・・・・・・・置けな・・・・い、よね?・・・・」  SM: 見渡せば、周囲は骸の山  矢袋: 「・・・・泣き・・・やんで?・・・・・・ほら・・・・・・・・面白い顔・・・・・ばぁ・・・・」だけどその顔は・・・・真っ赤で・・・  SM: いずれ腐り落ちるとしても、ここは――人の子のいるべき場所ではないだろう  SM: 赤子は、一瞬驚いたかのように泣き止み  SM: 再び、泣き始める  SM: けれど、弱々しく  矢袋: 「・・・・・あ、・・・・あれ?・・・・どう・・・して?・・・・泣き・・・やんで?・・・ねぇ・・・・」  SM: その泣き声は、どこまでも儚く  SM: 悲しいのだろうか。衰弱しているのだろうか  矢袋: 「・・・・やっぱり・・・・・・・・寂しい・・・・・のかな?・・・・」  SM: この小さな命は・・・何を求めているのだろうか  SM: ――夜が明ける  矢袋: 「・・・・わかんない・・・・・わかんない・・・よ・・・・ねぇ・・・・ねぇ・・・・」赤く染まった顔に・・・涙がつたい、血を洗う  SM: 東の空。空を薄紫色に染め、新しい太陽が昇り始める  矢袋: それは、あたかも血の涙のようで・・・  矢袋: 「・・・・・あ・・・・・・・・・・太陽?・・・・・・・・・あ・・・・さ、だ・・・」今の自分に、朝日は眩しすぎる  SM: 骸達は朝日を浴びて、ゆっくりと消滅する  SM: 残されたのは、母の骸と・・・小さな命を抱く、君だけ ---18:55 いぶき(見学)さんが去りました---  SM: ・・・これから、どうするか。そんなことを思いつつ、小さな命をその腕に、あてどなく彷徨い歩く  矢袋: 「・・・・・・おにいさ・・・ん・・・・・お兄さんなら・・・・私を拾ってくれた・・・・お兄さんなら・・・・・・・」ふらふらと、とてもおぼつかない足取りで  矢袋: 朝の日を避けるかのごとく、日陰を歩く  SM: 暖かな日向を避け、街の影を歩く  SM: 泣き疲れたのだろうか。小さな命は、いつの間にか泣き止んでいた  SM: すやすやと。心地良さそうに、眠りに落ちている  矢袋: 「・・・・・・泣きや・・・んで、くれた・・・・?・・・・よ・・・かった・・・・」安堵と何も知らぬ命に対する羨望こめて、そう呟く  SM: そして、気がつけば・・・街の影は、昼間だというのに、暗く  SM: 澱むように。全てを覆い隠すように  SM: 周囲を包んでいた  矢袋: 「・・・・・・あ、・・・・れ?・・・・・いつもと・・・・違・・・う?・・・・何?」  SM: ――かつり  SM: 小さな、しかし、確かに響く足音  矢袋: 「早く・・・・早く・・・・・連れていって・・・・・あげなきゃ・・・いけない・・・・・・のに・・」  矢袋: 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」こくり、首を傾げそちらを見る  SM: 影の中から現れたのは・・・一人の、老紳士  矢袋: 「・・・・・・・・・・・・誰・・・・・?」  SM: 「君かな、お嬢さん。私の骸達を滅ぼしてくれたのは」  SM: 人好きのする笑顔を浮かべる老人は、しかし、たしかに――悪意をその身に宿している  矢袋: 「・・・・・・・しりま・・・・・せん・・・・・ただ、・・・・・・壊したのは・・・・あります・・・けど・・・?」  SM: 「そうかそうか。いやなに、アレらを滅ぼしたのは別に構わない」  矢袋: それすらも、その老人の悪意すら、両の目には映らず・・・ただ、透明に濁る瞳で見つめ返し・・・  SM: 「ただ――その赤子は、なんのつもりかな?」  矢袋: 「・・・・こ・・・れ?・・・・・・・・拾いまし・・・・・・た・・・・」  SM: 「ふむ。ただ拾ったというのならば――私に渡してもらえないだろうか?」微笑を浮かべ  矢袋: 「泣いて・・・・・たから・・・・・・・・・あそこに・・・・・・は、置いて・・・・・おけなかった・・・・・から・・・」  矢袋: 「・・・・・・どうして・・・・・?・・・・・・あなた・・・・・・・・誰?・・・・」  SM: 「簡単なことだよ、お嬢さん」  矢袋: 「・・・・?・・・・・・・・・・」こくり、首を傾げる動作、今日は何度やったのだろう他愛も無いことを思いつく  SM: そう言って、腕を振るい  SM: 「赤子は喰らうと美味いのだよ」そんなことを告げ、老人はその正体を現した  矢袋: 「・・・・・・・・・・・・っ!」戦闘には慣れている、即座に距離をとる自分が居る  SM: 黒いローブを身に纏い。白骨と化したその眼窩の奥に、揺らめく青白い光  矢袋: 「・・・・・・骨・・・・?・・・・・・もろ・・・そう・・・です・・・・・」  SM: 「カカカカカカ、なかなか面白い感想だよ、お嬢さん」  矢袋: 拳を握り締め、腕を振り、そして・・・・・・・・回転する金属を出す、戦闘体制は整った  SM: 「さぁ、ソレを渡してはくれまいか。君が持っていても、仕方ないだろう?」  矢袋: 「・・・いえ・・・・・・・敵には・・・・・わたせま・・・・・・せん・・・・・  矢袋: 」  SM: 「何故かね? その赤子を引き取るというわけでもないだろう?」  矢袋: 「これは・・・・・・・お兄さんの・・・・ところまで・・・・と決めました・・・・・から・・・・  SM: 「別に赤の他人ではないか。私に渡してくれても、よいでのはないかね? ん?」  矢袋: 「・・・・・・・赤ちゃんが・・・・・・・赤の他人・・・・・・あなたも・・・・・面白い・・・・です・・・・」そういいながら、即座に殴りかかる、迷い恐れ、そんなものは無い、ただ、敵を砕くのみ  矢袋: 「・・・・・し・・・・ね・・・・・・!」  SM: 「つまらぬことを」呟き、黒い外套を翻し、黒い外套を纏った骸骨は即座に後方に下がる  SM: 『――――死よ、死よ、死よ、地に満ち遍く天を覆い尽くせ』  SM: 呪を唱え、魔力を練り上げ、命を奪う闇を撃つ  矢袋: 「・・・・まだ・・・・まだ・・・・です・・・」今まで人型だったその身体は瞬時にばらけ・・・・無数のパーツとなって命を奪う闇を通す  SM: 「カカカカカ、面白い芸を見せてくれるな」  SM: 「だが、赤子を抱えたままではロクに動けまい」そして黒の骸骨は次々と呪を唱え、闇を放つ  矢袋: 「・・・・くっ・・・・・」その通りだった、いつもの避け方では赤ん坊を守ることは難しい  SM: 「さぁ、いつまで持つか・・・見せてもらおうではないか」  矢袋: 「・・・・・なら・・・・・これなら・・・・どう・・・です・・・?」闇を喰らい、命を削り、それでも赤ん坊を守り、ただ全力で前進する  SM: 「――む」  矢袋: 拳を、回転する金属を、打ち付ける為だけに、死の行進は止まらない  SM: より激しさを増し、放たれる闇の密度が上がる  矢袋: 「・・・・・あぁっぁぁ・・・・・あ・・・・・・うぁぁ・・・・・ぁあああ!・・・」  SM: 雄叫びを放つ。己を鼓舞し、前へと進む  SM: だが・・・その歩みは、届かない  SM: あと1歩。あと1歩が足りない  矢袋: 「・・・届かない・・・・なら・・・届くまで・・・・死は・・・・・怖くな・・・い・・・・・・・」  矢袋: 「・・・・ただ・・・・寂し・・・いの・・・は、・・・・いや・・・・なの!・・・・」  SM: ――おぎゃあ  SM: その言葉に呼応するように  矢袋: 「・・・・・・この子に・・・・・・・それは・・・・・・・あじあって・・・・・・」  SM: 小さな命は、再び泣き始める  矢袋: 「・・・・・・貰いたく・・・・・・・ない!・・・・・」泣き声に後押しを受けたかのごとく、後一歩がとても、とても軽く踏み出せる  SM: 泣き声が。意志が。闇を抜ける  SM: 「――ッ!!」  矢袋: 「・・・・・だから・・・・・・・・あなたは・・・・・・・いらない・・・・・・ここで・・・・死ね・・・・ぇ!」  SM: ――斬!  矢袋: 「・・・もう、ひとつ・・・!」ぶんっ!  SM: ――轟!  SM: 握り締められた拳が骨を砕き、回転し火花を上げる鋼が、黒い外套ごと骨を切り裂く  矢袋: 「・・・・・・届き・・・・ました・・・・よ・・・?・・・・ほら・・・あなたは、いらな・・・・かった・・・んです・・・」  SM: 「・・・な、何故、届くのだ・・・」  SM: 風に揺れ、今にも崩れ落ちそうになりながら、黒い骸骨が問う  矢袋: 「・・・・・こっちは・・・・2人で・・・す・・・寂しくない方が・・・・・・・勝ったんです・・・それだけ・・・・です・・・・」  SM: 「そんな、理由で――」  SM: ――ざあ  SM: 一陣の風  SM: その風に吹かれて、黒い骸骨は塵と消える  矢袋: そういって、見下ろす目には・・・わずかに、ほんのわずかに、濁りとも透明ともとれない、光があって・・・ ---19:36 古山さんが去りました---  矢袋: 「・・・・・・・さよう・・・・なら・・」  SM: ――おぎゃあ、おぎゃあ  SM: 止まない泣き声  矢袋: 「・・・・あ・・・・」慌てて赤ん坊を抱きなおす  SM: 周囲を覆っていた暗い影は、いつの間にか晴れている  矢袋: 「・・・・・え・・・と・・・・・・・ほら、・・・・面白い顔・・・・ばぁー・・・」たぶん今度も意味は無いのだろうと、そう思いつつも  SM: その顔に驚き、泣き止む  矢袋: 「・・・・・・あ・・・・やっぱり・・・・・・だ・・・め?・・・」  SM: 目を見開き、じっと君の顔を見つめる  矢袋: こくり、首を傾げ  矢袋: 濁りと、透明と、ほんのわずかな光を映した瞳で、無垢な何も知らない命を見つめ返す  SM: じっと見つめる。その瞳は、どこまでも純粋で、白く  矢袋: 「・・・・・・・あ・・・私の顔・・・・」無垢に、純粋に、世界を映し出す瞳に自分の顔を見つけ  矢袋: 「・・・・真っ赤・・・・・だ・・・ね・・・・これじゃ・・・・・駄目・・・・だ・・・ね・・・・」落ち込む  SM: 「・・・だぁ」と手を伸ばし  矢袋: 「・・・・・・・・・え・・・・・?・・・・」  SM: ゆらゆらと揺れる、小さな手  SM: そっとその小さな手を取り・・・軽く、握り締める  矢袋: 「・・・え・・・・と・・・・・・ん?・・・」その手を、優しく、今までにしたことが無いくらい優しく  矢袋: 「・・・・・・・いい・・・の・・?・・・・・こんな・・・・・真っ赤でも・・・・・いい・・・・の?」  SM: 肯定するかのように、笑顔を浮かべる  SM: 小さな小さな笑い顔  矢袋: 「笑って・・・・くれ・・・た・・・・・・私・・・私・・・・・・・あり・・・・・がとう」命を、無垢を、純粋を、感謝とともに抱きしめる  SM: それは、とても小さな命  SM: 儚く、短い、小さな命  SM: でも、それでも――  SM: この抱きしめたぬくもりが、生きているということなのだろうか ---19:52 接続キー認証中--- ---19:52 シアネア(撮影中)さんがやってきました---  SM: そんなことを想いながら、日は昇っていく  SM: 嬉しかったかもしれない  SM: 怒りに震えたかもしれない  SM: 悲しかったかもしれないし、寂しかったかもしれない  SM: いつか、忘れてしまうのかもしれない  SM: ただ――このぬくもりだけは、忘れることはないだろう  SM: そんな、1日  SM: 「矢袋素子 生という価値」  SM: これにて終了です。お疲れ様でした  矢袋: お疲れ様でしたー  ログ取りくまぁ: お疲れさまー  リィト(いろいろ見てる): お疲れ様でしたー