SM: では、モノローグから。 ---11:48 PM アイシャ(熱寝)さんが去りました---  SM: 特に楽しかったわけじゃない  SM: 特に悲しかったわけじゃない  SM: いつもどおりの日々  SM: でもいつもと少し違う今日  SM: 日常の情景 第四回  SM: 「抜けないトンネル。」 ---11:49 PM 【アイシャ】から【アイシャ(見学)】になりました---  SM: 夜。何時の間にか、夜。  SM: 学校での作業。単純な作業だけど、それだけに時間がかかる。  SM: 時刻はとうに昨日を過ぎて、もう新しい一日が始まっていて。  SM: 今現在、同僚の女教師の車に乗せてもらって家まで向かっている最中です。  シュリファ: 「今日は、大変デシタネ・・・」  SM: 「そうねー…まさか、あんなに多いなんて思わなかったわ」  シュリファ: 「手伝ってくれて、アリガトウゴザイマス。一人では、終わらなかったカモしれマセン」  シュリファ: 微笑みと、感謝の意を込めた視線を送る  SM: 「何、良いの良いの。私も、結構暇だったしさ」ハンドルを握る彼女。大山美恵は、肩越しに振り向いてそう言います。  SM: すれ違う車も、追い越していく車もほとんど無く。車の中だから分からないけど、外もきっと静かなのでしょう。  シュリファ: 「前を向いてクダサイ!」苦笑しつつ  SM: 「おっとっと」冗談めかして笑いながら、大げさな動きで前を向き。  SM: 「へーきよ、こんなに空いてるんだからー」  SM: しばらく走って。街の明りが、段々と遠ざかり。  シュリファ: 「モウ・・・大雑把な人デスネ」再び苦笑を浮かべ  SM: 「ふっふーん。三つ子の魂…百だっけ?」良いながら、ゆらゆらとハンドルを動かします。空いた道路を、微妙に蛇行しながら進む車。  灰藤(見学中): そろそろ寝ますね、レスは不要です、お休みなさい  シュリファ: 「百まで、デスネ。・・・昔から変わらないのデスカ・・・」  SM: ─ふと。シュリファさんは、気付きます。 ---11:59 PM 【灰藤(見学中)】から【灰藤(睡眠中)】になりました---  シュリファ: 「デモ、そういう人は、好きデスヨ」にっこり  SM: 「─はは、ありがと」照れたように、笑う。何処かその顔は、子供のようで。この笑い顔は、昔から変わらないのでしょう。きっと、これからも。  SM: そして。その笑い顔。  SM: その向こう…そこに広がる、外の風景。  SM: 今まで、ほんの今まで見えていたマンションや街灯は無く。そこにはただ、生い茂る木々。  SM: 心なしか、車内は暗くなっています。光源は、車の前面を照らすライトだけ。道幅は変わっていないはずなのに、視界とともに急に狭くなったように感じます。  シュリファ: 「・・・・・・」笑顔の向こう。窓の外を見つめ、その蒼く澄んだ瞳を曇らせる  SM: ─こんなところ、通っただろうか。  SM: 「いやー、照れるなー…そんなこと言われたの、久しぶりだってー」笑いながら、美恵は車を進めます。いぶかしむ様子もなく、自然に。  シュリファ: 「・・・(結界を、通りマシタネ・・・)」  SM: そして、唐突に。車のライトに照らされて。夜の闇の中、大きなトンネルが見えてきました。  SM: 「─あれ?」間の抜けた声。  シュリファ: 「・・・ドウ、シマシタ?」  SM: 「…トンネルなんか、あったっけ?」始めて気付いたかのような、不審気な声。  SM: そうする間に、車はまるで吸い込まれるように、トンネルに近づいていき。  シュリファ: 「・・・この道は、あまり通りマセンカラ・・・」眉を顰め  SM: 「うーん…?というか、一本道だったのに─」その言葉を遮るように。  SM: 車は、トンネルの中に入ります。  SM: 中は、真っ暗で。ライトの一つも無く。中が真っ直ぐでなければ、絶対に事故でもおきそうなほど、真っ暗で。  SM: 「……うわ、暗ー…」  シュリファ: 「・・・・・・・・・ッ!」トンネルに入った、その瞬間。何かを感じ身を強張らせる  SM: 「ん?どーかした?」彼女は、気付いていません。我知らず、その顔が蒼ざめていることを。  SM: 車は、進んでいきます。けれど、外の風景は全くの黒一色で。進んでいるのか、もしかしたら戻っているのか。それすらも分からない、闇の中。  シュリファ: 「イエ・・・暗いのは、苦手なのデス。・・・秘密デスヨ?」そんなことを口にしながら、決意を固める  SM: 「あ、そーなんだ?大丈夫大丈夫、口は堅いって有名だからー」のん気な声。  シュリファ: 何が起ころうとも、この新しい友人を守ろうと  SM: ─そして、怪異は起きて。  SM: 唐突に。何の、前触れも無く。車が止まります。  SM: 「あわっ?」  SM: がくん、と。まるで、車が自分から進むのを止めたかのように。  シュリファ: 「・・・っ!」  SM: 「…え、エンスト?やっばいなぁ…」  シュリファ: 「・・・困り、マシタネ・・・」  SM: 「んー…」あまり長い付き合いではないけれど。このことだけは、よく分かる。  SM: 彼女は、大雑把で。決断が早くて。  SM: 「ちょっと見てみるね?」─この状況でも、扉を開ける。何も知らない、一般人で。  シュリファ: 「運がなかったデス。・・・幸運のお呪いでも、シマショウカ?」先んじて。扉を開けさせまいと  シュリファ: しかし、その言葉も間に合わず。扉は開かれる  SM: 「んー、頼みたいかも」かちゃり。  SM: ─その瞬間。車内に染み込んでくる、闇。飲み込まれる美恵。 そんな光景が頭に浮かんで─それが、杞憂だったと知る。  SM: 何事もなく、彼女は外に出て行きます。ボンネットを調べ、何かにぶつかっていないかを調べ。  シュリファ: ほっと、密かに安堵の吐息を漏らし。自身も外へと出る  SM: 外は、闇。見えるのは、車のライトに照らされた彼女だけ。  SM: 「別に何もないやー…どうしたのかな」  シュリファ: 「ドウ、デスカ?」  SM: 「んー、わかんない」  シュリファ: 「・・・困りマシタネ・・・」  SM: 「…うん」そして、彼女は少し視線を落とします。  SM: 腕。彼女の腕に嵌った、男物の腕時計。  SM: 「─二時、回っちゃったか」  シュリファ: 「・・・イツモ、着けてマスネ」暗い闇を見つめ。ふと、彼女の腕の時計に視線を落として  SM: 「…へ?─ああ。これ?」  シュリファ: 「お気に入りデスカ?」  SM: 「お気に入り。彼のね」少し、自嘲気味に笑って。そう答えます。  シュリファ: 『久しぶりに言われた・・・』先程の彼女の言葉を思い返し。問うべきか、問わざるべきかを、迷う  SM: ぽろ。  SM: ぽろ。  SM: そんな擬音すらするように。  SM: 彼女の目から、零れ落ちます。  シュリファ: 「・・・」  SM: 自分すら気付かずに、流した涙。ぽろ、ぽろ。  シュリファ: 呆然とし。そして、彼女の頬に手を伸ばす  SM: 「─うん。彼の、お気に入り」再び、頷くように。くるりと手首を回します。  SM: 「…ぁ」  シュリファ: 「・・・泣いて、イマスヨ」雫を掬い。彼女の瞳を見つめる  SM: 「…え…あ、あれ…?」  SM: 慌てたように、目を瞬かせ。「─あ、あれ。どしたんだろ」苦笑しながら、けれど、涙は止まりません。  シュリファ: 「・・・」彼女の手を取り  シュリファ: 「・・・少し、座りマセンカ? お茶も何もアリマセンケド」  SM: 「…シュリファ…?」  SM: 「─ん…うん」  SM: 真っ暗なトンネルの中で。見えにくいはずの涙を、彼女は必死に拭って。  SM: 道端。トンネルの端の、出っ張り。椅子代わりになんてならないけど、ここは彼女に見習って。即席のイスに、ゆっくりと二人は腰掛けます。  SM: 「─何でかな。たまにあるよね、こういうの。忘れてた悲しい事とか、嫌な事とか、ぶわっ…って、出てきちゃうの」  シュリファ: 「・・・」闇を見つめ。彼女の言葉に耳を傾ける  SM: 「そういう時って─いつでも来るんだ」独白。それとも、誰かに聞かせようとしているのか。  SM: 「道歩いてるときとか、さ。そんな事考えると─つい、人ごみの中でも立ち止まっちゃって。…はは。校内一の大雑把…美恵先生ともあろう人が、さ」  SM: 「…だから、忘れるんだ。振り切って。流して。だからあたしは、大雑把─たまーに来る、こんなことさえなければいいんだけどね」  シュリファ: 「涙に・・・理由は、ないデスヨ」膝を抱え、横に座った彼女を見上げる  SM: 「…ん…」抱え込んだ膝に、顎を乗せて。  シュリファ: 「・・・」何かを口にしかけ、迷いながらも  SM: 彼女は、何処か。勘違いかもしれないけど、何処か縋るような目を貴女に向けて。  シュリファ: 「・・・やっぱり、私は、好きデスヨ。貴女のような人」  SM: 「…ん、あ─」  SM: かくん。倒れこむような勢いで、彼女の顔が膝の間に埋められます。  SM: 「…訂正」  SM: 「………ありがと。始めてかも。そんなこと、言われたの」  シュリファ: 「・・・」微笑を浮かべ  シュリファ: 「そうありたいと願い、そうあろうとする人は・・・好きデス」  SM: 「…それが、今までできてなくても?忘れようとして追いやったのに、忘れきれてなくても?」  SM: 顔を、埋めたまま。聞き取りにくい声だけど。しっかりと聞こえて。  シュリファ: 「ハイ。誰であろうと・・・そうありたいとする人は、好きデス」  SM: ぐっ。そんな音が聞こえるくらい、力を込めて。彼女は、唐突に立ち上がります。  SM: そして、おもむろに腕時計を外して─思いっきり。トンネルの入り口の方向へ、投げ飛ばします。  シュリファ: 「・・・いいのデスカ?」  SM: 「…いいの。好きって言ってくれる人、いるんだもん。あいつより、よっぽど…信じられる、『好き』を」  シュリファ: 「・・・」じっと彼女を見上げ、立ち上がる  SM: 「そりゃー忘れられないわよね。ずっとつけっぱなしじゃあ、さ」ははは。軽い、笑い。  SM: 「…さ、てと。今が何時か知らないけど…とりあえず、車出さなきゃ。動くかなぁ…」ぱんぱん、とお尻をはたいて。運転席に向かいます。  シュリファ: 「忘れるコトが出来なくテモ、いいと想いマスヨ」後姿に声をかけ  SM: 「…そう、かな?」  SM: 足を止めて。ちょっとだけ、驚いたように。  シュリファ: 「忘れてしまったラ・・・その時間が。その時の貴女が。可哀想じゃないデスカ」  SM: 「…あー…」  シュリファ: 「忘れてもいいデス。でも・・・」  SM: 「…」  SM: 何処か、期待するように。言葉を、待つように。  シュリファ: 「たまには思い出して、泣いてみるのも、いいと想いマスヨ」  SM: 「─そだね」  SM: そういって。  SM: 彼女は、肩越しに振り返って。  SM: 涙で赤くなった顔で、笑います。  シュリファ: 「・・・私はいつでも、ココにイマスカラ」  SM: 「……ありがと。シュリファ」  SM: 照れたように。  SM: やっぱり、この笑い顔は。100歳になったとしても、変わらないのでしょう。  シュリファ: 「時々は、泣いてみせてクダサイ。・・・泣き顔はカワイイですね、美恵サン」くすりと冗談めかして  SM: 「…な、泣き顔はって、どういうことよー!」泣いた子供が、もう笑った。  SM: 「もー、これでも生徒人気は高いんだからー!…っと、とりあえず行こ!これ以上立ち往生、したくないし!」やっぱり、照れている。照れ隠しみたいに、乱暴に。けど、嬉しそうに。彼女は車に乗り込みます。  シュリファ: 「・・・笑顔にも、理由はいらないデスネ」くすくすと微笑みながら、彼女を見つめ、彼女の後を追う  SM: そして。  SM: 極自然に。  SM: まるで、やるべき事を終えた─そうとでも言うかのように。  SM: 車は、滑るように動き出します。  SM: 「…ありゃ?」  SM: 進んでいるか、戻っているか。それすら分からなかった風景は…今は、確実に進んでいて。  SM: 「─変なの。何だったんだろ」  シュリファ: 「動き、マシタネ」頭上を見上げ、何かを抜けたような感覚を覚える  SM: 「うん─」首を捻って。けど、すぐに。いつものこの言葉。  SM: 「ま、いっか」  シュリファ: 「デスネ。デモ、もうこんな時間・・・」  シュリファ: 「・・・泊まって行きマセンカ?」  SM: 「─え?」 そして。暗いトンネルを抜けて。  SM: 「………」 暗い、暗い夜空の下で。  SM: 「…うん!」 照れたように、彼女は笑って。  SM: 時刻はとうに昨日を過ぎて。もう新しい一日が始まっていて。  SM: けれど。この友人と。少し語らう時間くらいなら、きっとある。  SM: 何時の間にか、周りの風景は見覚えのあるものに戻っていて。  SM: そして、車は向かいます。シュリファさんの家に向かって。もう、あんな地図にも無いトンネルに行く事もなく。  SM: ふと、振り返ってみると─  SM: そこには、トンネルも。あの、道端の木々も、無く。  SM: ただ。もう一度首を、前に戻したとき…  SM: 同じように後を向いて。照れたように笑う、彼女と目があって。  SM: ─まぁ、いいか。  シュリファ: ―デスネ。  SM: そして、笑いあう。─これで、いい。  SM: 特に嬉しかったわけじゃない  SM: 特に怒りに震えたわけでもない  SM: 記憶の中に埋没するであろう一日  SM: でも振り返れば大切だったと思えるかもしれない一日  SM: 「シュリファ・イシュマイル・アブドゥル・アル=アズィーズ 抜けないトンネル。」  SM: これにて終了でーす  SM: お疲れ様でしたー!ごめん長引いたー!(汗